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【移植用自家培養表皮の作製技術につながるものとして期待】
学部卒業研究の成果が国際学術誌『Bioengineering』に掲載。今春、応用バイオ学科を卒業した北村 望さん(平田 宏聡研究室)

2025/9/1 NEW

この度、今年3月に応用バイオ学科(平田 宏聡研究室)を卒業した北村 望さんのプロジェクトデザインIII(卒業研究)の研究成果をまとめた論文が、国際学術誌「Bioengineering」にアクセプトされ掲載されました。

学部生の卒業論文の成果がImpact Factor 3.7の国際学術誌に掲載されるのは、金沢工業大学バイオ?化学部の研究水準の高さを示すものとして注目を集めそうです。

【論文の概要】

皮膚は人体で最大の臓器であり、体表に面した表皮とその下の真皮からなっています。表皮は角化細胞と呼ばれる細胞が層状に重なってできており、外部からの異物侵入や体液の喪失を防ぐバリアとして機能します。表皮と真皮の境界は互いにかみ合うような凹凸形状をしており、表皮と真皮との結合を強めています。

これに対して、表皮の表面はほぼ平坦です。しかし、表皮底部の凹凸形状と表面の平坦さという形状の違いがどのように形成?維持されるのかは不明でした。本研究では、段差形状を造形した人工基板上に角化細胞を培養することで、角化細胞が段差を埋めて自発的に平滑なシートを形成する能力を持つことを明らかにしました。この際に、細胞どうしの接着を弱めたり、細胞増殖を抑制すると、細胞シートは形成されても平滑にならないことが分かりました。

表皮底部の凹凸形状は老化とともに平坦化することが知られており、結果として表皮が真皮から剥離しやすくなります。本研究の成果は、底部の凹凸形状と表面の平坦さを兼ね備えた移植用自家培養表皮の作製技術につながることが期待されます。

段差のある人工基板上に形成された角化細胞シートのXZ断面像

【論文タイトルと掲載ジャーナル】

Keratinocyte Capability for Smooth Sheet Formation on a Step Pattern Substrate
『Bioengineering』 2025, 12(9), 929
https://doi.org/10.3390/bioengineering12090929

【執筆者】※学年は論文執筆時の学年

?北村 望(金沢工業大学バイオ?化学部 応用バイオ学科4年)

?真柄 翔一(金沢工業大学大学院バイオ?化学専攻博士前期課程2年)

?小島 正己(金沢工業大学バイオ?化学部 生命?応用バイオ学科 教授)

?露本 伊佐男(金沢工業大学バイオ?化学部 環境?応用化学科 教授)

?曽我部 正博(金沢工業大学人間情報システム研究所 教授)

?Kennedy Omondi Okeyo(米国 Purdue University)

?平田 宏聡(金沢工業大学バイオ?化学部 生命?応用バイオ学科 教授)

(関連ページ)

金沢工業大学老虎机游戏 バイオ?化学部 生命?応用バイオ学科 平田宏聡 研究室
(専門分野:メカノバイオロジー、細胞増殖、細胞運動、細胞形態形成、細胞接着、細胞骨格)