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経営情報学科 松林研究室が財務諸表から温室効果ガス排出量を概算する方法を提案。グローバルビジネス学会で学生研究奨励賞を受賞
一般社団法人グローバルビジネス学会 2024年度学生研究発表会が2025年1月11日(土)、文教大学東京あだちキャンパス、明星大学日野校、共栄大学、金沢工業大学をオンラインで結んで開催され、金沢工業大学経営情報学科 松林賢司研究室(専門領域:起業、新規事業、地域共創)の池田 一翔さんと波多江 俊さんの2名の「地球温暖化対策?AIST-IDEAを活用したGHG排出量の計算に関する研究」が学生研究奨励賞を受賞しました。
また同研究室の島崎 聖子さん、東 ゆりかさん、鳥居 稜平さんの3名が学生プレゼンテーション賞を受賞しました。
当研究発表会は、将来のグローバルビジネス(国際経営学)を担っていく若手の研究者および技術者の論文内容や講演技術が向上し、さらに全国大会が活性化することを目的に開催されたものです。今回は全国から78名の学部、大学院の学生が参加し、発表しました。
各受賞研究テーマは以下の通りです。
●経営情報学科4年 池田 一翔さん、波多江 俊さん
【講演題目】地球温暖化対策?AIST-IDEAを活用したGHG排出量の計算に関する研究
●経営情報学科4年 島崎 聖子さん、東 ゆりかさん
【講演題目】地方創生?マーケティングテクノロジーによる野々市市の新名所創出に関する研究
●経営情報学科4年 鳥居 稜平さん
【講演題目】地球温暖化対策?CFPを活用した伝統工芸品の市場価値向上に関する研究
【学生研究奨励賞を受賞した池田 一翔さん、波多江 俊さんの研究について】
池田さんと波多江さんは、4年次に取り組んだプロジェクトデザインIII(卒業研究)の成果として、AIST-IDEAを活用したGHG(Greenhouse Gas。温室効果ガス)排出量の計算に関する研究について発表しました。
「AIST-IDEA」は、日本最大級の研究機関である国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST、産総研)が開発したGHGに関する世界最大規模のデータベース。約5,000種類の農業?林業?水産物、工業製品等の日本のすべての製品?サービスを対象とした環境負荷物質を定量可能です。
GHGの削減は世界的な課題となっていますが、サプライチェーン全体としてどれだけGHGを排出しているのか、自社で把握、算定している企業は依然として少ないのが現状です。
そこで経営情報学科松林研究室では「AIST-IDEA」の運用等について産総研と共同研究を実施。そこで得られた知見を活用して、脱炭素に関する企業へのコンサルテーションに取り組んでいます。
池田さんと波多江さんは、産総研 福島再生可能エネルギー研究所と共同研究を実施しました。
この共同研究での目標として掲げたのは次の3点でした。
1.福島再生可能エネルギー研究所のScope1~3の算定により、一般財団法人日本品質機構から認証を得る。
2.福島再生可能エネルギー研究所と金沢工業大学のScope1~3を算定するための計算方法を学ぶ。
3.福島再生可能エネルギー研究所と金沢工業大学のScope1~3を算定するための「AIST-IDEA」の活用方法を学ぶ。
ここでいう「Scope1」、「Scope2」、「Scope3」とは、GHGの種類を分類したもので、GHGプロトコル(GHGの排出量を算定?報告するための国際的な基準)により定められています。製品の原材料調達から製造、販売、消費、廃棄に至るまでの過程において排出されるGHGの量を、Scope1(自社での直接排出量)、Scope2(自社での間接排出量)、Scope3(それ以外の間接排出量)に分類。企業や組織が事業活動によるGHG排出量を把握し、持続可能な経営戦略を策定する際に利用されています。
池田さんと波多江さんは、まず福島再生可能エネルギー研究所でのフィールドワークを通して、「AIST-IDEA」の使用方法を学び、事前実験として福島再生可能エネルギー研究所のGHG排出量の算出に取り組みました。
この算出量の算出結果は、国際規格ISO 14064の規格に基づき、一般財団法人日本品質保証協会の第三者認証の証明書を取得しています。
※この取り組みについては以下のAIST Solutionsのニュースでも紹介されています。
その上で、本実験として金沢工業大学のGHG排出量の算出に取り組み、考案したGHG削減策を金沢工業大学施設部に提案しました。
当研究を通じて、財務諸表を用いた誰でも活用可能な算出方法論を確立するとともに、実験結果も施設部から前向きに評価されました。
以上の研究活動がグローバルビジネス学会で評価され、学生研究奨励賞が池田さんと波多江さんに授与されました。
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