開講科目の詳細
技術商業化特論
Technology Commercialization
担当教員
受講対象者
企業等において、大学などとの連携、CVC、スタートアップとの連携に携わる方。研究開発、知的財産の管理活用に携わる方。大学知財部、TLO等、研究機関において知的財産マネジメント、研究企画、戦略策定を担当するコーディネーター、リサーチアドミニストレーター等、関連業務に関わる方。また将来的にこれらの業務を目指す方。いずれの経験もない方は、産学連携?技術移転特論を受講した上での受講により理解が深まる
授業の主題と概要
技術商業化特論は、ディープテック系スタートアップの起業前から起業プロセスに乗るまで、つまり0から1になる最上流のステージに着目し、技術?知財?ビジネス環境の全体感を得ることを目的とする。対象は主に、大学などとの外部連携を担当する企業の方、起業を検討している方、大学知財部や起業支援を担当する方、CVC関連の方を念頭に設計しました。本講義は、MBAを目指す方にとっては、「組織外の知識をいかに取り入れ、事業に活用するか」という点で、MIPMを目指す方にとっては、知的財産創造サイクル「創造?保護?活用」のうち、特に「活用」の最重要政策を理解するという点で有効です。本講義の魅力は、日本の第一線で活躍する6名の現役外部講師による、リアルな事例に基づく講義です。3人のベンチャーキャピタリストは、知財評価システムを構築した金融系VCと、シリコンバレーでのエンジニア、著名経営コンサルティング経験をもつVCで、その対比により共通点?相違点が明確になる。技術系ベンチャーの経営支援の分野では最も著名な江戸川公認会計士による講義、VC山口氏と資本政策に関す るクロストークは本講義でこそ実現するものです。合わせて著名研究大学の知財マネジメントの実際や、今最も注目が集まる宇宙系スタートアップを支援するJAXAの活動紹介により、ディープテック系スタートアップの全体感を理解することが可能になる設計となっています。
到達(習得)目標
以下の項目について、実際の業務イメージをもち、考え方を理解することを目標とする
1)ナレッジマネジメント、外部知識吸収の要諦
2)大学発ベンチャーの成長プロセスとベンチャーキャピタルの活動
講義スケジュール
講義 回数 |
講義テーマ |
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1,2 | イントロで本科目全体の構成の説明、簡単な質問形式での受講生のニーズを把握。その後、ベンチャーキャピタル(VC)からみた技術の事業化(その1):現在日本でもっとも成功している大学VCであり、活発にベンチャー支援を行っている東京大学エッジキャピタルの井出氏より、ベンチャーファイナンスの動向、大学VCの特徴、先端技術の事業化の全体像と課題を、アメリカでの経営コンサルティング、ベンチャー企業経営への参画のご経験を含めて伺う。また同氏作成のケースワークも予定している |
3,4 | ベンチャーキャピタル(VC)からみた技術の事業化(その2):大学発ベンチャーへの、知財をコアとした投資スキームを構築した第一人者である (株)FFGベンチャービジネスパートナーズ山口氏より、VCからみた知財の評価、事業化の課題を、豊富な事例を含めて伺う。また、大学生を対象としたスタートアップ支援事業のアドバイザー経験より、現在のアントレプレナー教育の状況もお話しいただく。後半は外部講師の話題を補完しつつその背景などにも触れ全体理解を深める | 5,6 | ベンチャーキャピタル(VC)からみた技術の事業化(その3):ジャフコグループ株)やハンズオン型コンサルティングで、キャピタリストとしてベンチャー投資活動に従事した経験、また東北大学VCでの投資部マネージングディレクターとして、大学発スタートアップを研究とは異なるビジネスの観点から評価するリアルなご経験を、その難しさも含めて伺う。後半は外部講師の話題を補完しつつその背景などにも触れ全体理解を深める |
7,8 | 前半は、技術を生み出す源流である、大学における知財マネジメントの実際を、技術系スタートアップのへの展開という文脈で紹介いただく。後半は、それを踏まえ、日本で現在実施されている関連の政策や地域の取り組みなどを紹介する。政策レベルのマクロの理解に加え、リアルな現場でそれら事業を使うユーザーの観点での情報収集の方法などの実務レベルのニーズにも対応する | 9,10 | 前半は、世界的にもTech系スタートアップの躍進が活発な宇宙ビジネスの現状を、日本の宇宙研究開発の主体であるJAXAのご担当から伺う。後半は高橋担当講義で次週以降の資本政策、Tech系スタートアップの創業初期の経営環境の講義にむけて、興味のポイントや前提となる状況を整理する |
11,12 | 公認会計士からみた技術系ベンチャーの経営:大学発のいわゆるTech系ベンチャーの特徴、先端技術の事業化におけるファイナンスの課題を、多くのTech系ベンチャーの株式上場を手がけ、事業計画の立案、資金調達や企業間アライアンスの推進および管理業務の整備等についてアドバイスしているご経験を踏まえて伺う。江戸川氏は参考図書3)の共著者でもある。適宜参考にされたい | 13,14 | スタートアップの資本政策:資本政策は、スタートアップの成否の鍵を握る大変重要な事項である。一方、個々の起業環境により、なかなか一般解が存在しない上、会社の根幹に関わることから情報が外部に出ることは極めて稀である。本講義ではまず、公認会計士江戸川氏に、資本政策の考え方や考慮要素についてマイルストーン投資などリアルな資本政策の概要等も含めながら講義頂く。それを踏まえ後半ではVCの山口氏に加わって頂き、よりリアルな事例ベースで、起業ステージ毎にポイントとなる要件等を、お二人の成功事例、さらに貴重な失敗事例を交えご議論いただく。受講生の問題意識や課題の提案など積極的な参加を歓迎する |
15,16 | ベンチャー活用のエコシステム:14回までで得た現在の日本の技術系ベンチャー企業の概観理解と課題を踏まえ、改めて各々の立場からみたベンチャー企業との連携のあり方を検討する。また現在のアメリカ、シリコンバレーの強さの源泉といわれる、大学を核とした経済促進システム(ベンチャー創出支援インフラとしての大学の役割と可能性、科学技術政策との関係性など)も含めて理解する |
開講について
開講時期: 2学期
開講形態: 2コマ(180分)×8日間
講義回数: 全8回
※状況に応じて、一部変更が生じる場合もございます。予めご了承ください。
テキスト/参考図書
【テキスト】
テキストに該当する資料は、毎回授業時に配布する
【参考図書】
授業中で紹介する。講義の背景理解としては、
1)産学連携概況把握には「産学連携」 原山優子編著、東洋経済新聞社(2003)
2)知財の観点からは「イノベーターの知財マネジメント」渡部俊也著 白桃書房(2012)
3)イノベーション具現化のススメ -イノベーション具現化のための知財、投資、出口の3つの戦略- 瀬戸篤ら著 同文舘出版(2021)